「親から突然、孫である自分に介護を頼まれた」「なぜ自分が祖父母の介護まで背負わなければならないのか」と戸惑いや不安を抱えている方も多いのではないでしょうか。結論から言うと、孫に介護をさせる親の判断は決して珍しい話ではなく、家庭の事情や親自身の心理が複雑に絡み合って起こっています。しかしそのまま受け入れてしまうと、学業・仕事・人生設計に大きな影響が出るリスクもあります。この記事では、孫に介護が押し付けられる現実の背景から、実際に起きているトラブル、そして孫自身が追い込まれないための具体的な対処法までをわかりやすく解説していきます。
- ・孫に介護が回ってくる家庭の共通点がわかる
- ・介護を孫に押し付ける親の心理が理解できる
- ・孫が背負いやすい精神的・生活的リスクがわかる
- ・孫が追い込まれないための現実的な対処法がわかる
目次
孫に介護させる親が生まれる背景と現実とは

一見すると「なぜ親ではなく孫が介護をするのか」と不思議に感じるかもしれませんが、日本の高齢化と家族構成の変化によって、こうした家庭は決して特別な存在ではなくなっています。親世代が仕事や病気、経済的事情などで介護を担えず、そのしわ寄せが孫に向かうという構図は、現代社会のひとつの現実でもあります。ここからは、実際にどの程度の家庭で孫が祖母の面倒を見ているのか、客観的な数字や社会背景とともに見ていきます。
孫が祖母の面倒を見る家庭はどれくらい多い?
結論からお伝えすると、孫が祖母や祖父の介護を日常的に担っている家庭は少数派ではあるものの、年々確実に増加傾向にあります。厚生労働省が公表している「国民生活基礎調査」や「介護者実態調査」などの資料を見ると、主介護者は配偶者や実子が中心である一方で、「同居する孫」が介護の中心になっている世帯も一定数存在しています。割合としては全体の数%程度とされていますが、日本全体の高齢者人口が約3,600万人を超えている現状を考えると、決して無視できない人数になります。
この増加にはいくつかのはっきりとした理由があります。まず、高齢者人口そのものが増えていることに加え、子世代が共働きで家を空けがちになっていること、さらには離婚や死別によって片親家庭が増えていることなどが挙げられます。親が経済的・時間的に余裕を持てない家庭ほど、同居している孫が「自然な流れ」で介護に関わることが多くなりやすいのです。
また、総務省の「就業構造基本調査」などをもとにした分析では、若年層でも「家族介護を理由に就学や就労に影響を受けた経験がある」と回答する人が少しずつ増えています。明確に「孫が主介護者」と分類されていなくても、実質的に生活の大部分を支えているケースも多く、統計に表れきらない“隠れ介護者”が存在している点も見逃せません。
実際の現場では、次のような形で孫が祖母の介護を担っていることが多く見られます。
- 平日の昼間は親が仕事で不在のため、学校帰りの孫が見守りや身の回りの世話をしている
- 同居している祖母の食事準備や服薬管理を孫が任されている
- トイレや入浴の付き添いを孫が日常的に行っている
- デイサービスの送り迎えを孫が担っている
これらは一部の例ですが、「少し手伝う」レベルを超えて、生活の中核に介護が組み込まれてしまっている孫も少なくありません。表面上は「家族みんなで支えている」ように見えても、実際には負担が一人の孫に偏っていることも多いのが現実です。
このように、孫が祖母の面倒を見る家庭は統計上は少数派に見えるものの、実態としてはより広い範囲で存在しており、今後も高齢化の進行とともに増えていく可能性が高いと考えられます。決して他人事ではなく、どの家庭にも起こり得る問題であることを理解しておく必要があります。
親の介護を孫が担うケースは普通なの?
一般的な感覚としては、「親の介護は子がするもの」「孫はあくまで手伝い役」というイメージが強いかもしれません。しかし、現実には必ずしもその通りにはなっていません。結論として、親の介護を孫が中心になって担うケースは“決して普通ではないが、特別に珍しいとも言い切れない”というのが実情です。家庭の事情によっては、ごく自然な形で孫が介護の主な担い手になってしまうことがあります。
本来、日本の法律や制度の考え方では、介護の一次的な責任を負うのは配偶者や実子とされています。民法上も、扶養義務は「直系血族および兄弟姉妹」に課されるとされており、孫は基本的に一次的な扶養義務の対象ではありません。つまり、制度上は「孫が介護を担う前提」にはなっていないのです。
それにもかかわらず孫が介護を担う背景には、制度と現実の間に大きなギャップが存在していることが挙げられます。例えば次のような事情が重なると、孫が介護の中心になりやすくなります。
- 介護するはずの親が病気や障害を抱えている
- 親が長時間労働や夜勤などで家にほとんどいない
- 親が精神的・経済的に余裕を失っている
- 親と祖母の関係が悪く、直接の介護を避けている
- 孫が同居していて一番手が届きやすい存在になっている
こうした条件が一つでも当てはまると、「今は仕方がないから」「一番そばにいるから」という理由で、いつの間にか孫が介護の主役になってしまうことがあります。最初は簡単な手伝いのつもりだったものが、次第に責任の重い役割へと変わっていくケースは珍しくありません。
また、社会的な意識の問題も影響しています。親世代の中には、「孫は若いのだから多少無理がきく」「家族なのだから助け合うのは当然」という価値観を強く持っている人もいます。そうした考え方が強い家庭ほど、孫に介護を任せることへの抵抗感が薄れやすくなります。その結果、孫自身の学業や仕事、将来設計への影響が十分に考慮されないまま、介護の役割が固定化されてしまうのです。
実際に、介護の現場に関する専門家の報告では、若年介護者、いわゆる「ヤングケアラー」として認識される人の中に、祖父母の介護を担っている孫世代が一定数含まれていることが指摘されています。ヤングケアラーの問題は、ここ数年で社会的にも大きく取り上げられるようになっており、学校や行政が支援に乗り出す動きも少しずつ広がっています。
このように、「親の介護を孫が担う」という形は制度的には想定されていないものの、現実の家庭ではさまざまな事情が重なり、結果として普通の出来事のように起きてしまっているのが実態です。周囲からは気づかれにくく、本人も「自分がやるしかない」と思い込みやすいため、問題が長期化しやすい点にも注意が必要です。
孫が介護を担うこと自体が直ちに悪いわけではありませんが、本来背負う必要のない責任まで押し付けられてしまうと、心身の負担や将来への影響が非常に大きくなります。そのため、「うちは特別なのかな」と一人で抱え込まず、まずはこのようなケースが社会的にも課題として認識されているという事実を知ることが、適切な対応への第一歩になります。
孫が介護することになりやすい家庭環境とは

孫が祖父母の介護を担うことになりやすい家庭には、いくつか共通した環境の特徴があります。最初から「孫に介護をさせよう」と決めている家庭は多くなく、多くの場合は生活の流れの中で、少しずつ役割がずれていき、結果的に孫が中心になってしまうケースがほとんどです。特に多く見られるのは、家族の人数が少なく、頼れる大人が限られている家庭です。
例えば、親が一人しかいない片親家庭で、さらにその親がフルタイムで働いている場合、日中や夜間に祖父母の世話をする人が物理的に足りなくなります。親は生活費を稼ぐために仕事を続けなければならず、その間に家にいるのが孫だけ、という状況では、どうしても孫が「見守り役」や「世話役」を任されやすくなります。最初は「少し様子を見ていてほしい」程度だったものが、次第に毎日の食事やトイレ介助へと発展していくことも珍しくありません。
また、三世代同居の家庭も、孫が介護を担いやすい環境のひとつです。祖父母・親・孫が同じ家で暮らしている場合、家の中で一番長く滞在する人が自然と介護の中心になりやすくなります。親世代が外で働き、孫が学生で帰宅時間が早い場合、放課後から夜にかけての時間帯を孫が祖母と一緒に過ごすことになり、そのまま介護に関わる役割が固定されてしまうことがあります。
さらに、経済的に余裕がない家庭も、孫が介護を担う可能性が高くなります。本来であれば、介護サービスやヘルパーを利用して負担を分散することが望ましいですが、費用への不安から「家族で何とかしよう」と考え、結果的に無償の労働力として孫に頼ってしまうケースも少なくありません。特に介護保険サービスの利用に対して「お金がかかる」「手続きが面倒」といった誤解を持っている家庭では、家族だけで抱え込む傾向が強くなります。
家庭内の人間関係も大きく影響します。親と祖母の仲が悪い場合、直接的な介護を避けたがる親が、「あなたのためにもなるから」「おばあちゃんも喜ぶから」といった言葉で孫に介護を任せてしまうことがあります。表向きには思いやりのある言葉に聞こえても、実際には大人の都合が優先されている場合も多く、孫が断りにくい空気がつくられてしまうのです。
加えて、家族の中で「まじめで責任感が強い孫」ほど、介護を担いやすくなる傾向も見られます。頼まれたことを断れない性格、家族の期待に応えようとする気持ち、周囲に迷惑をかけたくないという思いが重なり、自分の限界を超えても無理をしてしまうケースが非常に多いです。こうした性格面の要素も、家庭環境の一部として大きな影響を与えています。
このように、孫が介護を担う家庭には次のような特徴が重なっていることが多いです。
- 片親家庭や少人数家庭で大人の手が足りない
- 三世代同居で孫の在宅時間が長い
- 親が長時間労働で家にいない
- 経済的理由で介護サービスの利用を控えている
- 親と祖父母の関係が悪く、親が介護を避けている
- 孫が責任感の強い性格で頼られやすい
これらの条件がいくつも重なったとき、孫が「気づけば介護の中心人物になっていた」という状態に陥りやすくなります。本人に自覚がないまま役割が固定化されることも多く、周囲の大人も「もうやってくれているからこのままでいい」と考えてしまいがちです。この構造が続くほど、孫の負担は見えにくい形で積み重なっていきます。
孫が介護を担いやすい家庭環境は、決して特殊なものではなく、日本の少子化・共働き・高齢化といった社会背景の中で、今後さらに増えていく可能性があります。そのため、「うちはたまたま」と軽く考えるのではなく、環境として起こりやすい問題なのだと理解することが重要です。
介護を孫に押し付ける親の心理とは?
介護を孫に任せてしまう親の行動は、外から見ると無責任で冷たいものに映ることもありますが、当の親自身もさまざまな葛藤や不安を抱えているケースが少なくありません。結論として、孫に介護を押し付けてしまう親の心理は、「逃げたい気持ち」「罪悪感」「依存」「無力感」などが複雑に絡み合って生まれることが多いです。
まず多いのが、介護に対する強い不安や恐怖です。自分の親が日々衰えていく姿を見ることは、精神的に大きな負担になります。排泄介助や認知症への対応など、現実的な世話の大変さに加え、「親が壊れていく」ように感じることへの恐怖から、無意識のうちに介護から距離を取ろうとする親も少なくありません。その結果、身近にいる孫に目が向き、「助けてもらえる存在」として頼ってしまいます。
また、経済的な不安も大きな要因のひとつです。介護にはお金がかかるというイメージが強く、実際に介護サービスの自己負担や医療費、生活費などが重なり、家計が苦しくなる家庭は多くあります。そうした状況の中で、「これ以上お金はかけられない」「家族で何とかするしかない」と考え、結果的に無償で動いてくれる孫に頼る形になってしまうことがあります。
親自身が心身ともに疲れ切っている場合もあります。仕事、育児、家事に追われる中で、さらに介護まで背負うことに限界を感じ、「もうこれ以上は無理だ」という気持ちから、孫に役割を振り分けることで自分を守ろうとする場合もあります。このとき親は、「家族みんなで分担している」「孫にも家族としての役割がある」と自分に言い聞かせることで、心のバランスを保とうとします。
さらに、親の価値観の影響も見逃せません。特に年上の世代には、「家族のことは家族でやるのが当然」「若い人は体力があるのだから動いて当たり前」といった考え方が根強く残っていることがあります。こうした価値観のもとでは、孫に介護を任せることへの罪悪感が薄れやすく、「少しくらい手伝わせても問題ない」という認識になってしまいがちです。
親と祖父母の関係が悪い場合も、孫への押し付けが起こりやすくなります。過去の確執やトラブル、長年の感情のもつれなどが原因で、親が祖母と直接向き合うことを避け、その役割を孫に置き換えてしまうのです。この場合、親は自分の行動を正当化するために、「あの子の方が優しいから」「おばあちゃんも孫の方が安心するから」といった理由を口にすることもあります。
また、親自身が「助けられる立場」に慣れてしまっているケースもあります。これまで祖父母から経済的な援助や育児のサポートを受けてきた親ほど、「今度は孫が助ける番だ」という意識を無意識に持ってしまうことがあります。本来は別の話であるにもかかわらず、過去の恩義が孫への介護という形で返されるような構図が生まれてしまうのです。
こうした心理が重なると、親は次第に「孫がやってくれるのが当たり前」という感覚に慣れていきます。最初は遠慮がちだった頼みごとも、次第にエスカレートしていき、責任の重い介護まで任せるようになってしまうことがあります。そして、孫が疲れや不満を口にしても、「家族なのだから」「みんな我慢している」と気持ちを封じ込めてしまう場合も少なくありません。
介護を孫に押し付ける親の心理は、決して単純な悪意だけで成り立っているわけではなく、不安、余裕のなさ、価値観、過去の関係性といった多くの要素が絡み合っています。しかし、どのような事情があったとしても、成長途中の孫に過度な負担を背負わせることは、本人の人生に大きな影響をあたえる可能性があるという点を、親が正しく理解することが必要です。
介護で孫が感じるストレスの正体
孫が祖父母の介護に関わることで感じるストレスは、単なる「疲れ」だけではありません。結論として、孫が抱えるストレスの正体は、身体的な負担と同じくらい、精神的な圧迫感や将来への不安、そして「逃げられない立場」に置かれていることへの苦しさにあります。これらが長期間続くことで、心と体の両方に深刻な影響を及ぼす可能性があります。
まず、身体的なストレスは誰の目にも分かりやすい負担です。食事の準備、片付け、掃除、洗濯、通院の付き添い、入浴やトイレの介助など、日常生活の中で介護に関わる作業は想像以上に多く、思春期や若年期の孫にとっては大きな重労働になります。特に体力のない学生や女性の場合、腰や肩を痛めたり、慢性的な疲労に悩まされたりすることも珍しくありません。
しかし、それ以上に深刻なのが精神的なストレスです。介護は「やっても終わりが見えない」という特徴があります。テストが終わればひと段落できる勉強や、期限が決まっているアルバイトとは違い、介護には明確な終わりが見えません。この先何年続くのか分からない不安が、常に心の中に重くのしかかります。
また、周囲に悩みを打ち明けにくいことも、ストレスを増幅させる大きな要因です。友人との会話の中で「今日はおばあちゃんの介護で疲れた」と自然に話せる環境はまだまだ少なく、「特別な家庭の事情」として自分の中に閉じ込めてしまう孫が多いのが現実です。その結果、孤独感が強まり、誰にも理解されていないという思いを抱え込みやすくなります。
さらに、「自分だけが我慢している」という不公平感も大きなストレスになります。同じ家族でありながら、親は仕事を理由に介護から距離を置き、兄弟姉妹は普通の学生生活を送っている中で、自分だけが介護の役割を背負っていると感じると、強い怒りや悲しみが生まれます。しかし、その感情をそのままぶつけることができず、「家族だから仕方がない」と自分を納得させようとすることで、さらに心がすり減っていきます。
進学や就職といった人生の大切な選択にも、介護の影響は大きく及びます。「家を離れたら祖母の世話ができなくなる」「進学したら介護を続けられない」といった理由で、本当は行きたい学校や就職先を諦めてしまうケースもあります。こうした選択の積み重ねが、「自分の人生が誰かの介護のために縛られている」という感覚を強め、将来に対する希望を持ちにくくさせてしまいます。
また、感情のコントロールが難しくなることもあります。介護をしている最中に、祖母に対してイライラしてしまったり、「なんで自分ばかり…」と心の中で責めてしまったりすることもあります。そうした感情を抱く自分自身に対して強い罪悪感を覚え、「こんなことを思う自分は冷たい人間だ」とさらに自分を追い込んでしまう孫も少なくありません。
こうしたストレスが長期間続くと、次のような心身の不調として表れることがあります。
- 慢性的な疲労感や睡眠不足
- 頭痛や腹痛など原因のはっきりしない体調不良
- 気分の落ち込みや強い不安感
- 学校や職場への意欲の低下
- 人と会うのが怖くなる、引きこもりがちになる
これらは決して「気の持ちよう」で片づけられるものではなく、はっきりとした心のSOSのサインです。しかし、孫自身がそのサインに気づいても、「自分が弱いだけ」「もっと頑張らないといけない」と無理を重ねてしまうことが多く、問題が深刻化するまで周囲が気づけない場合もあります。
介護で孫が感じるストレスの正体は、単に体が疲れることではなく、「逃げられない役割」「先の見えない不安」「理解されない孤独」「人生の選択を奪われる感覚」が重なり合って生まれています。この状態を長く放置してしまうと、心と体の両方に大きな傷を残す可能性があるため、早い段階で周囲の大人や第三者の支援につなげることが非常に重要となります。
孫に介護させる親への対処法と現実的な選択肢

ここまで見てきたように、孫が介護を担う状況には家庭環境や親の心理など、さまざまな要因が複雑に絡み合っています。問題は「かわいそう」「大変そう」で終わらせてよいものではなく、実際に今まさに悩んでいる孫やその家族が、どう向き合い、どう行動すればよいのかという具体的な選択が重要になります。ここからは、現実の声や実例をもとに、孫に介護が集中してしまったときにどのような対処が考えられるのかを詳しく見ていきます。
祖母の介護で孫が悩んだ知恵袋の声を検証
結論から言うと、インターネット上の相談サイトや知恵袋には、祖母の介護を担うことになった孫からの切実な相談が数多く投稿されており、その悩みは一時的なものではなく、生活や将来に深く関わる深刻な問題に発展しているケースが多く見られます。内容を丁寧に読み解くと、共通する苦しさや行き詰まりの構造がはっきりと浮かび上がってきます。
実際に投稿されている相談の多くは、「学校に通いながら介護をしている」「親がほとんど関わらず、すべてを任されている」「自分の進学や就職のことを考える余裕がない」といったものです。相談者は未成年であることも多く、誰にも相談できずにインターネット上へ助けを求めている姿が想像されます。
これらの相談の背景には、社会的にも問題視されている「ヤングケアラー」の実態があります。厚生労働省や文部科学省が行った実態調査によると、中学生や高校生のうち約15人に1人が、家族の世話や介護を日常的に担っているという結果が出ています。その中には、祖父母の介護をしている子どもや孫世代も含まれています。さらに、この調査では、介護や世話のために「睡眠不足になっている」「勉強の時間が確保できない」「友人と遊ぶ時間がほとんどない」と答えている割合が非常に高いことも明らかになっています。
知恵袋に投稿される内容には、こうした調査結果と重なる悩みがそのまま反映されています。例えば、次のような声が多く見られます。
- 放課後はまっすぐ家に帰って祖母の世話をしないといけない
- 親は仕事が忙しいと言ってほとんど家におらず、頼っても話を聞いてくれない
- 部活をやめざるを得なくなり、友達とも疎遠になった
- 祖母に怒鳴られても誰にも相談できず、毎日がつらい
これらの声から分かるのは、介護の負担そのものだけでなく、「年齢に見合わない過剰な責任を背負わされていること」が強いストレスになっているという点です。中学生や高校生が、本来であれば勉強や友人関係、将来の進路について考えるべき時期に、排泄介助や食事管理、見守りといった重い役割を担わされている現実が見えてきます。
また、知恵袋では「これは自分が我慢すればいいことなのでしょうか」「介護を断るのは冷たいのでしょうか」といった、自分を責める内容の相談も非常に多く見られます。これは、家庭内で「家族なのだから当たり前」「助け合うのが当然」といった言葉をかけられ続けていることで、孫自身が「つらいと感じる自分が悪いのではないか」と思い込んでしまっている状態だと考えられます。
専門家や支援経験者の回答には、「あなたが一人で背負う必要はない」「介護は大人や社会の役割」「学校や行政に相談してよい」といったアドバイスが多く見られますが、相談者の中には「相談先が分からない」「親に知られるのが怖い」「家庭のことを外に話すのは悪いことだと思っている」といった理由で、実際の支援につながらないまま時間が過ぎてしまうケースも少なくありません。
知恵袋の声から見えてくるのは、介護に苦しむ孫の多くが「逃げ道がない」と感じている現実です。家庭の中で役割が固定され、誰も助けてくれないという思い込みが強くなればなるほど、問題は本人の内側に閉じ込められ、外からは見えにくくなっていきます。こうした状態を放置すれば、心身の不調や学業・将来への深刻な影響につながるリスクが高まることは、数多くの事例が示しています。
孫が退職に追い込まれる実例
結論として、孫が祖母の介護を理由に退職へ追い込まれてしまうケースは決して珍しい話ではなく、実際に社会問題としても少しずつ注目され始めています。若い世代が仕事を続けながら介護を担うことは想像以上に難しく、最終的に「仕事か介護か」という厳しい選択を迫られ、やむを得ず退職に至る人も少なくありません。
厚生労働省の調査によると、家族の介護を理由に離職した人は年間でおよそ10万人前後にのぼるとされています。この数字には配偶者や実子だけでなく、祖父母を介護する孫世代も含まれています。特に非正規雇用や中小企業に勤めている若年層では、介護と仕事の両立支援制度が十分に整っておらず、結果として仕事を失うリスクが高くなっています。
実際の現場では、次のような流れで退職に追い込まれていくケースが多く見られます。
- 祖母の体調悪化をきっかけに介護の頻度が増える
- 親は仕事が忙しく、実質的な介護が孫に集中する
- 遅刻や早退、欠勤が増えて職場での評価が下がる
- 同僚に迷惑をかけているという罪悪感が強くなる
- 最終的に自分から退職を選ぶ
ここで重要なのは、「自分から辞めた」という形を取っていても、実際には追い込まれて選ばざるを得なかった退職であるという点です。職場に介護の事情を理解してもらえなかったり、制度を利用する余裕がなかったりすることで、本人の意思とは関係なく、働き続ける道が閉ざされてしまうことがあります。
具体的な実例として、20代前半の女性が祖母の在宅介護を担うことになり、正社員として勤めていた会社を退職したケースがあります。この女性は母子家庭で育ち、母親は夜勤のある仕事に就いていたため、日中の見守りや食事、通院の付き添いなどをすべて担うことになりました。最初は有給休暇を使って対応していましたが、祖母の認知症が進み、目を離せない状態になると欠勤が増え、最終的には「これ以上迷惑をかけられない」と自ら退職を選びました。
退職後、時間的には介護に集中できるようになりましたが、収入が大きく減り、将来への不安は一層強まりました。再就職を考えようにも、ブランクがあることや、いつ呼び出されるか分からない介護の状況が壁となり、なかなか次の仕事が見つからないという悪循環に陥ってしまいました。
また、男性のケースでも、祖母の介護と仕事の両立に限界を感じ、契約社員の職を辞めざるを得なくなった例があります。この男性は、親が遠方に住んでおり、祖母と二人暮らしの状態でした。夜間の徘徊や転倒が続き、夜も安心して眠れない生活が続いた結果、日中の業務に集中できなくなり、ミスが増加。契約の更新が見送られ、事実上の離職となりました。
こうした実例に共通しているのは、「介護の負担が限界を超える前に、十分な支援につながっていなかった」という点です。本来であれば、介護保険サービスの活用や、地域包括支援センターへの相談、職場での両立支援制度の利用など、選択肢は存在します。しかし、孫という立場にあると、「自分が相談していいのか分からない」「親の問題なのに口を出せない」と遠慮してしまい、結果として一人で抱え込んでしまうのです。
退職に追い込まれることの問題は、単に「仕事を失う」ことにとどまりません。収入の低下による生活不安、将来のキャリア形成への悪影響、社会とのつながりの喪失など、人生全体に長く影響を及ぼします。特に若い世代の退職は、回復までに非常に長い時間がかかる場合も多く、経済的にも精神的にも大きなダメージとなります。
孫が退職に追い込まれるような状況は、本来あってはならない事態です。家族だけで介護を抱え込むのではなく、早い段階で外部の支援や制度を活用し、負担が一人に集中しない体制を整えることが、退職という最悪の選択を避けるために極めて重要になります。
介護で孫が同居する場合のメリットとリスク

祖母の介護が本格化する中で、「同居」という選択を迫られる孫は少なくありません。結論から言うと、孫が介護のために祖母と同居することには、確かに一定のメリットがある一方で、見過ごせない大きなリスクも同時に存在します。感情だけで判断せず、良い面と悪い面の両方を冷静に理解したうえで決断することが極めて重要です。
まず、同居の最大のメリットは「介護の即時対応が可能になる」という点です。祖母の体調が急に悪化したときや、夜間に転倒や徘徊があった場合でも、同じ家にいることで素早く対応できます。遠距離から通う必要がなくなるため、移動時間や交通費の負担も大きく減少します。また、祖母にとっても「一人で過ごす不安」が軽減され、精神的な安心感につながる場合があります。
経済面でも一定のメリットがあります。別々に暮らしている場合と比べて、家賃や光熱費、食費などをまとめることで生活費が抑えられることがあります。介護保険サービスを併用すれば、訪問介護やデイサービスを組み合わせて負担を分散することも可能です。厚生労働省の介護給付費の資料を見ると、在宅介護を基本とした場合、施設入所と比べて自己負担額が抑えられるケースも多くなっています。
一方で、同居によって生じるリスクは決して小さくありません。最も大きな問題は「生活と介護の境界がなくなる」という点です。朝起きた瞬間から夜眠るまで、常に祖母の存在と介護が身近にある生活は、想像以上に強い精神的な負担となります。自分の部屋に戻っても完全に気が休まらない状態が続き、心身の回復時間が奪われてしまいます。
また、プライバシーの喪失も深刻な問題です。思春期や若年期にある孫にとって、一人の時間や友人との交流はとても大切なものです。しかし同居生活では、友達を家に呼びにくくなったり、外出を制限されたりすることも多くなります。「介護があるから遊べない」「家を空けられない」という状態が続くと、周囲との関係が徐々に薄れていき、孤立感が強まっていきます。
さらに、身体的な負担も増大します。同居によって介護の頻度が増え、移乗介助や入浴介助、夜間対応などを一人で担う機会が増えると、慢性的な腰痛や睡眠不足に悩まされることも少なくありません。若い世代であっても、無理な介助を続けることで体を壊してしまうケースは多く報告されています。
精神面への影響も無視できません。「外に逃げ場がない」「誰にも頼れない」という感覚が強まることで、不安感や抑うつ感が高まりやすくなります。また、祖母への感情も複雑になりやすく、優しく接したいと思いながらも、疲労やストレスから苛立ってしまう自分に自己嫌悪を抱くこともあります。
同居介護には、次のようなメリットとリスクが混在しています。
- 緊急時にすぐ対応できる安心感がある
- 移動時間や交通費の負担が軽減される
- 生活費をまとめることで経済的負担が減る可能性がある
- 一方で、介護と私生活の区切りがなくなり強い疲労感が続く
- 友人関係や自由な時間が失われやすい
- 身体・精神の両面で不調を来しやすい
実際の事例では、大学進学を機に祖母と同居を始めた孫が、当初は「家賃がかからず助かる」「おばあちゃんも喜んでくれている」と前向きに考えていたものの、次第に夜間の対応や日常介助の負担が重なり、学業に集中できなくなってしまったケースもあります。最終的には単位不足で留年を余儀なくされ、精神的にも大きな影響を受けてしまいました。
同居という選択は、状況によっては有効な支えになる一方で、孫にとって取り返しのつかない負担を背負わせてしまう可能性も含んでいます。同居を決める前には、介護サービスの利用、他の家族との分担、期間限定の同居など、複数の選択肢を十分に検討することが不可欠です。
孫が介護を拒否するのは身勝手なのか?
祖母の介護を求められたとき、「どうしても無理だ」「これ以上続けられない」と感じる孫が介護を拒否することは、決して珍しいことではありません。結論から言えば、孫が介護を拒否することは決して身勝手な行為ではなく、むしろごく自然な自己防衛の反応であり、責められるべきものではありません。
本来、祖父母の介護は配偶者や実子が中心となって担うものであり、法律上も孫には第一次的な扶養義務は課されていません。つまり、孫が介護を引き受けなければならないという絶対的な義務は存在しないのです。それにもかかわらず、「家族なのだから」「若いのだから」といった理由で当然のように役割を背負わされてしまうことが問題なのです。
拒否という選択の背景には、長期間にわたる心身の疲労があります。これまで我慢し続け、睡眠不足や学業・仕事への支障、友人関係の断絶など、さまざまな犠牲を重ねてきた末に「もう限界だ」と感じて声をあげる孫も多くいます。これは怠けやわがままではなく、身体と心が発している明確な危険信号です。
しかし現実には、介護を拒否した孫が「冷たい」「無責任」「親不孝」「情がない」といった言葉で責められる場面も少なくありません。特に家庭内では、感情が先行しやすく、「誰かがやらなければならない」という焦りから、一番断りにくい立場の孫に非難が集中してしまうことがあります。
客観的に見れば、介護は専門的な知識や体力、長期的な覚悟が必要な行為であり、成長途中にある孫が単独で担い続けられるものではありません。厚生労働省や文部科学省が行ったヤングケアラーに関する調査でも、「介護や世話が重く、学校生活に支障をきたしている」と回答した割合は非常に高く、適切な支援につながらないまま放置されている実態が問題視されています。
実例として、祖母の介護を理由に高校を中退寸前まで追い込まれていた孫が、学校の先生に相談したことで児童相談所や地域包括支援センターにつながり、結果的に祖母は介護施設へ入所し、孫は学業を継続できたケースがあります。当初、親は「家族なのに冷たい」「なぜ最後まで面倒を見ないのか」と反発しましたが、第三者が間に入ることで、孫が無理を強いられていた現実が少しずつ理解されるようになりました。
介護を拒否するという選択は、「祖母を見捨てること」ではありません。「自分一人では背負えない」と正直に伝える勇気であり、より良い介護の形を探すための第一歩でもあります。介護を続けるためには、家族だけで抱え込まず、必ず外部の支援や制度とつなげる必要があります。
孫が介護を拒否することは、身勝手どころか、心身の健康と将来を守るために必要な行動である場合が多いのです。大切なのは、「拒否」そのものを問題にするのではなく、「なぜ孫がその選択をせざるを得なかったのか」という背景に目を向けることです。
まとめ:孫に介護させる親への正しい向き合い方と限界
ここまで見てきたように、孫に介護が集中してしまう問題は、単なる家庭内トラブルではなく、高齢化、共働き、経済格差、価値観の違いといった社会全体の構造と深く結びついた問題です。結論として、孫に介護をさせる親に対しては「感情」だけで向き合うのではなく、「現実的な限界」を正しく理解したうえで対応することが不可欠です。
まず大前提として、孫は介護の専門職ではなく、人生のこれからを築いていく途中の存在です。学業、就職、結婚、夢、友人関係といった将来に直結する大切な時間を、介護によって過度に奪われてしまえば、その影響は一生消えない傷として残る可能性があります。一時的な我慢では済まない問題なのです。
親が孫に介護を求める背景には、経済的な不安、心身の限界、祖父母との関係性など、複雑な事情があることも事実です。しかし、それらの事情がどれだけ苦しくても、「孫なら我慢できる」「若いから大丈夫」という考えで責任を押し付けてしまえば、最終的に破綻するのは孫の人生だけではなく、家族全体の関係そのものです。
正しい向き合い方として重要なのは、次のような視点です。
- 介護は本来、家族全体と社会で分担するものだと認識すること
- 孫が担っている負担を「見えないもの」にしないこと
- 感情論ではなく、制度や支援を前提に話し合うこと
- 限界を感じたときは早めに第三者を介入させること
地域包括支援センター、ケアマネジャー、学校、福祉窓口など、孫であっても相談できる場所は存在します。「まだ大丈夫」「もう少し頑張れば何とかなる」という気持ちで先延ばしにすればするほど、選択肢は狭まり、本人も家族も追い詰められていきます。
また、親にとっても「孫に頼らなければならないほど追い込まれている」という現実を直視し、助けを求める勇気が必要です。外部の支援を受けることは、決して「家族として失格」なのではなく、「家族を守るための正しい行動」です。
孫に介護させる親への向き合い方には、はっきりとした「限界」があります。孫の人生を犠牲にしてまで成り立つ介護は、決して健全な形ではありません。誰かが壊れるまで我慢するのではなく、壊れる前に支え合う仕組みへと切り替えることこそが、家族全体にとって最も重要な選択になります。
- ・孫が介護を担う背景には家庭環境や社会構造の影響がある
- ・同居介護には安心感と引き換えに大きな心身の負担が生じやすい
- ・孫が介護を拒否することは身勝手ではなく自己防衛の選択である
- ・家族だけで抱え込まず外部支援を利用することが最も重要である
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