親の介護が始まると、「このまま仕事を続けられるのか」「介護にかかるお金を少しでも補える制度はないのか」「親の介護でお金をもらうのに資格は必要なのか」など、不安や疑問を一気に抱える方が少なくありません。実は、一定の条件を満たせば、家族が介護をしていても公的制度を使ってお金をもらえる仕組みはあります。ただし、制度を知らないまま進めてしまうと、本来もらえるはずのお金を受け取れずに損をしてしまうケースも少なくありません。この記事では、親の介護でお金をもらうのに資格は必要なのかという疑問に対して、基礎知識から具体的な条件、注意点までをわかりやすく整理し、あなたの不安や失敗リスクを解消できるよう丁寧に解説していきます。
- ・親の介護でお金がもらえる仕組みと基本的な考え方
- ・介護給付金や家族介護慰労金など利用できる主な制度
- ・資格や条件を満たすために知っておきたいポイント
- ・知らないと損をする注意点と申請時の落とし穴
親の介護でお金をもらうのに資格は必要?基礎知識と利用できる制度

親の介護でお金をもらうためには、まず制度の全体像と「誰が」「どんな条件で」「どこから」支給されるのかを正しく理解しておく必要があります。介護は家族の責任とされがちですが、実際には公的制度によって経済的な負担を軽減する仕組みが用意されています。ここでは、最も基本となる「本当にお金はもらえるのか」という点と、「介護給付金が支給される条件」について、制度面から丁寧に整理していきます。
お金をもらうことは本当にできる?
親の介護をしているだけで、自動的に現金が支給される仕組みは存在しませんが、一定の条件を満たすことで公的制度を通じてお金として受け取れる仕組みは確かに存在します。多くの方が「家族が介護するのは当たり前」「お金はもらえないもの」と思い込んでいますが、実際には介護保険制度や自治体独自の支援制度を活用することで、自己負担を減らしたり、金銭的な支給を受けたりすることができます。
日本の介護制度の中心は、40歳以上の国民が加入する「介護保険制度」です。この制度によって、要介護認定を受けた親が介護サービスを利用した場合、原則1割〜3割の自己負担で訪問介護、デイサービス、福祉用具のレンタルなどを使うことができます。これは「現金が直接もらえる」わけではありませんが、介護にかかる出費そのものを大きく減らすという意味では、お金をもらっているのと同じ効果を持ちます。
また、一定の条件を満たした場合には「家族介護慰労金」や「介護に関する自治体補助金」など、現金として支給される制度も存在します。これらは国の制度ではなく、市区町村ごとに実施の有無や金額が異なるため、住んでいる地域によって利用できるかどうかが変わります。
重要なのは、「親の介護=お金は一切もらえない」という考え方が誤りであり、制度を正しく使えば、結果的に家計の負担を大きく軽減できるという点です。ただし、申請しなければ一円も受け取れない制度がほとんどであるため、情報を知らないまま介護が長期化すると、本来受け取れるはずだった支援を失い続けるという大きな損につながります。
例えば、月に15万円かかっていた介護サービス費用が、介護保険の適用によって1万5千円〜3万円程度に抑えられるケースは珍しくありません。この差額は年間で100万円を超えることもあり、経済的な影響は非常に大きいものになります。
さらに、働きながら介護をしている人に対しては、会社の制度として「介護休業給付金」が用意されており、一定期間、給与の代わりとなる給付金を受け取ることも可能です。これも「知らなければ使えない」「知っていれば大きな助けになる」代表的な制度です。
このように、親の介護をすることで直接または間接的にお金をもらうことは十分に可能であり、問題は「制度の存在を知っているか」「条件を満たしているか」「正しく申請しているか」によって結果が大きく変わるという点にあります。
- 介護保険を使えば自己負担を大幅に減らせる
- 自治体によっては現金給付制度もある
- 働く人向けには介護休業給付金がある
- 申請しなければ一切受け取れない
つまり、親の介護でお金をもらうことは決して特別な話ではなく、制度を正しく知り、必要な手続きを踏めば、誰にでも現実的に起こりうる選択肢なのです。
介護給付金がもらえる条件は?対象者と支給の仕組み
介護給付金という言葉はよく使われますが、正確には「介護保険制度による給付」と「介護休業給付金」など、複数の仕組みをまとめて指しているケースがほとんどです。ここでは、特に多くの人が関係する「介護保険による給付」と「働く人向けの介護休業給付金」の2つを中心に、対象者と支給の仕組みを整理していきます。
まず、介護保険による給付を受けるためには、介護を受ける親が市区町村から「要介護認定」または「要支援認定」を受けている必要があります。対象となるのは原則65歳以上の高齢者、または40歳〜64歳で特定疾病に該当する人です。認定は申請制で、本人や家族が市区町村の窓口で申請し、訪問調査や主治医意見書をもとに審査されます。
要介護1〜5と認定された場合、区分に応じて毎月利用できる介護サービスの上限額が定められています。その範囲内であれば、原則1割(一定以上の所得がある場合は2割または3割)の自己負担で、以下のようなサービスを利用できます。
- 訪問介護(ヘルパー)
- デイサービス
- ショートステイ
- 福祉用具のレンタル
- 住宅改修費の補助
例えば、要介護2の支給限度額は月額約19万円です。この範囲内でサービスを利用した場合、自己負担1割の人であれば、実際に支払うのは約1万9千円となり、残り約17万円は介護保険から給付されることになります。これが「介護給付」の基本的な仕組みです。
一方で、現金として直接支給される代表的なものが「介護休業給付金」です。これは雇用保険に加入している人が、親などの家族を介護するために仕事を休んだ場合に支給される給付金です。原則として、休業開始前の賃金の67%が、最大93日間支給されます。
この制度を利用できる条件は以下の通りです。
- 雇用保険に加入していること
- 要介護状態の家族を介護するために休業すること
- 休業前2年間に一定の勤務実績があること
例えば、月収25万円の人が介護のために仕事を休んだ場合、約16万7千円が毎月給付金として支給される計算になります。これによって、収入がゼロになる不安を大きく軽減することができます。
さらに、自治体独自の「家族介護慰労金」なども介護給付金の一種として扱われることがあります。これは、介護サービスをほとんど利用せず、家族だけで在宅介護を続けている家庭に対して、年額数万円〜10万円程度が支給される制度です。ただし、実施していない自治体も多く、対象条件も非常に厳しいのが現状です。
介護保険制度の基本的な仕組みや給付内容については、厚生労働省の公式発表でも詳しく説明されています。国が定めた制度に基づいて運営されているため、内容の信頼性は非常に高いと言えます。制度の全体像については、厚生労働省の介護保険制度の解説でも確認できます。
このように、介護給付金がもらえるかどうかは、「誰が介護されるのか」「誰が介護するのか」「どの制度を使うのか」によって大きく変わります。親が要介護認定を受けているかどうか、介護する家族が働いているかどうか、自治体に独自の支援制度があるかどうかによって、受け取れる金額や支援内容にも大きな差が生まれます。
ここで重要なのは、「介護給付金」という言葉が一つの現金給付を指しているわけではないという点です。実際には、
- 介護保険によるサービス給付
- 介護休業給付金(雇用保険)
- 自治体独自の現金支援制度
といった複数の制度が組み合わさって、結果的に家庭の経済的負担を軽くする仕組みになっています。そのため、「条件をひとつ満たせば全員が同じ金額をもらえる」という単純な話ではなく、自分や親の状況に合った制度を一つずつ確認しながら、利用できるものを丁寧に拾い上げていくことが、最も現実的で確実な方法となります。
制度を正しく理解しないまま、「自分は対象外だろう」と最初から諦めてしまうと、本来なら受け取れるはずだった給付や補助をすべて手放すことになってしまいます。介護が始まった時点で、できるだけ早く制度の全体像を把握し、市区町村の窓口やケアマネジャーに相談することが、結果的にお金の不安を最小限に抑える近道になります。
親の介護日当は実際に支給されるのか

親の介護をしていると、「毎日つきっきりで世話をしているのだから、日当のようなお金がもらえるのではないか」と考える方は少なくありません。しかし結論から言うと、国が一律に「介護日当」として現金を毎日支給する制度は存在していません。介護をしているだけで自動的に日当が振り込まれる仕組みはなく、何もしなければ金銭的な支給は一切受けられないのが現実です。
このような仕組みになっている理由は、日本の介護制度が「家族に現金を配る制度」ではなく、「介護サービスそのものの費用を保険で支える制度」として設計されているためです。国が整えている介護保険制度では、現金を直接渡すのではなく、訪問介護やデイサービス、福祉用具のレンタルといったサービスの利用料金の大部分を保険から給付する形を取っています。そのため、家族が介護した時間に応じて日当が支払われるという考え方とは、制度の根本が異なります。
ただし、「介護日当」という言葉が完全に間違いというわけではなく、自治体によっては独自の支援制度として、在宅で家族が介護している世帯に対し、年に一度や数か月ごとに「慰労金」「支援金」といった形で現金を支給しているケースがあります。これが一般的に「介護日当のようなもの」と受け取られている要因です。
例えば、要介護度が高い親を施設に入れず、ほぼすべて家族の手で在宅介護している場合、以下のような条件を満たすと、自治体から数万円程度の支給を受けられることがあります。
- 要介護4または5に認定されていること
- 介護サービスの利用がごくわずかであること
- 過去1年間に入院や施設入所をしていないこと
- 同一世帯の収入が一定基準以下であること
しかし、これらは国が義務付けている制度ではなく、市区町村が独自に実施している取り組みです。そのため、同じ条件で介護をしていても、住んでいる地域によって「もらえる」「もらえない」の差がはっきり分かれます。金額も自治体ごとに大きく異なり、年額2万円の地域もあれば、10万円以上支給される地域もあります。
実際に、ある家庭では要介護5の母親を10年以上自宅で介護し続けていましたが、自治体の家族介護支援制度を知らなかったため、1円も支給を受けていませんでした。後から制度の存在を知って申請したものの、「原則として過去分は支給できない」と言われ、結果的に数十万円分の支援を受け取れないままになってしまったというケースもあります。
このように、親の介護に対して日当のような現金が毎日支給される制度は存在しませんが、自治体の条件付き支援や、後ほど解説する家族介護慰労金などを活用することで、結果的に金銭的な支援を受けられる可能性は十分にあります。重要なのは、「日当がない=何ももらえない」と早合点せず、自分の地域で使える制度を一つずつ確認していく姿勢です。
家族の介護でもらえるお金にはどんな種類がある?
家族が親の介護をしている場合、「どこから」「どんな形で」お金がもらえるのかは非常に分かりにくいのが実情です。結論から言うと、家族が介護をしているからといって一律で現金が支給される制度はありませんが、複数の公的制度を組み合わせることで、実質的にお金を受け取っているのと同じ状況を作ることは可能です。
家族の介護でもらえるお金は、大きく分けると「介護サービスとして給付されるもの」「働く人向けに支給されるもの」「自治体独自で支給されるもの」の3つに分類できます。それぞれの仕組みを正しく理解することで、自分の家庭に当てはまる支援を見つけやすくなります。
- 介護保険によるサービス給付
- 介護休業給付金
- 障害者控除や医療費控除などの税制優遇
- 自治体独自の補助金や慰労金
まず最も基本となるのが、介護保険制度によるサービス給付です。これは現金ではありませんが、介護サービスの費用の7割〜9割を保険でまかなってもらえる仕組みです。例えば、月に20万円分の介護サービスを利用した場合、自己負担が1割であれば2万円の支払いで済み、残りの18万円は保険から支払われます。この18万円分は、実質的に「もらっているお金」と同じ効果を持ちます。
次に、仕事をしている家族が親の介護のために休業する場合に支給されるのが「介護休業給付金」です。これは雇用保険に加入している人が対象で、休業前の賃金の67%が最大93日間支給されます。収入が途絶える不安を大きく軽減できる非常に重要な制度です。
さらに見逃されがちなのが、税制面での支援です。家族が支払った介護費用や医療費は、条件を満たせば医療費控除の対象になります。また、要介護認定を受けている親と同居している場合、障害者控除の対象となることもあり、所得税や住民税の負担が軽減されます。これも現金給付ではありませんが、結果的に手元に残るお金が増えるという点では、立派な金銭支援の一つです。
そしてもう一つが、自治体独自の補助金や家族向け支援金です。これは地域差が非常に大きく、内容もさまざまです。例えば、
- 紙おむつ代の補助
- 介護タクシーの利用補助
- 在宅介護に対する現金支給
- 住宅改修費の上乗せ補助
など、国の制度だけでは足りない部分を市区町村が独自にフォローしているケースも多く見られます。ただし、これらの制度は申請しなければ一切受け取れず、また「知らない人は一生知らないまま終わってしまう」ことも珍しくありません。
実際に、同じ市内に住む二つの家庭で、ほぼ同じ介護状況にもかかわらず、一方の家庭は年間10万円以上の補助を受け取り、もう一方は何も知らずに全額自己負担していた、という例もあります。この差は、制度を知っているかどうかだけで生まれています。
このように、家族の介護でもらえるお金は一種類ではなく、複数の制度が重なり合って成り立っています。一つ一つは金額が小さく見えても、積み重なることで年間数十万円単位の支援につながることも珍しくありません。介護が長期化しやすい今の時代において、これらの制度を正しく活用できるかどうかは、家計に大きな影響を与える重要なポイントになります。
家族介護慰労金は誰がいくらもらえる制度なのか
家族介護慰労金とは、在宅で親の介護をしている家族に対して、日頃の介護の負担をねぎらう目的で、自治体が独自に支給している現金給付制度です。結論から言うと、この制度はすべての人がもらえるものではなく、支給の有無や金額、条件は住んでいる市区町村によって大きく異なります。
家族介護慰労金が作られた背景には、重度の要介護者を施設に入れず、家族だけで介護し続ける世帯の負担が非常に大きいという実情があります。介護保険サービスを使えば負担は減りますが、重度の場合はそれでも足りず、結果として家族が仕事を制限しながら介護せざるを得ないケースが多くなります。そこで、一部の自治体では「少しでも家族の負担を軽くするために」として、現金を支給する制度を設けています。
一般的な支給条件には、次のようなものがあります。
- 要介護4または5と認定された高齢者を介護している
- 1年以上在宅で介護を継続している
- 介護保険サービスの利用がごくわずかである
- 過去1年間に入院や施設入所がない
- 世帯の住民税が非課税、または一定以下である
これらの条件は一例であり、細かい基準は自治体ごとに異なります。特に重要なのが「介護サービスの利用が少ないこと」という点です。つまり、「ほとんどすべてを家族の手で介護している人」が主な対象になっており、デイサービスや訪問介護を頻繁に使っている場合は対象外となるケースが多くなっています。
支給額についても全国で統一されているわけではありませんが、年額3万円〜10万円前後に設定されている自治体が多く見られます。一部の地域では年額12万円や15万円といった高額な支給を行っているところもありますが、逆に制度自体が存在しない市区町村も少なくありません。
例えば、ある自治体では、要介護5の配偶者を1年以上在宅で介護している人に対して、年1回10万円が支給される制度があります。この制度を利用している家庭では、「わずかな金額でも、紙おむつ代や電気代の足しになるだけで精神的にかなり助かる」と感じている人が多いのが実情です。
一方で、同じような条件で介護していても、隣の市に引っ越しただけでこの慰労金が一切支給されないというケースもあります。それほどまでに、家族介護慰労金は「地域差の大きい制度」なのです。
さらに注意すべき点として、この慰労金は原則として「自動的には振り込まれない」という点があります。毎年決められた時期に、申請書を提出しなければ支給されず、期限を過ぎるとその年の分は受け取れないという自治体も多く存在します。また、過去にさかのぼってまとめてもらえることはほとんどありません。
実際に、介護を始めて3年目に制度の存在を知り、「もっと早く知っていれば30万円以上受け取れたのに」と後悔する人も少なくありません。こうした後悔を防ぐためにも、介護を始めた段階で、市区町村の高齢福祉課や地域包括支援センターに必ず相談し、「家族介護慰労金の制度はありますか」と具体的に確認することが非常に重要になります。
このように、家族介護慰労金は「条件を満たした一部の人だけが」「申請した場合に」「地域ごとのルールに従って」受け取れる支援金です。誰でも必ずもらえる制度ではありませんが、長期間にわたって重度の親を在宅で介護している家庭にとっては、精神的にも金銭的にも大きな支えとなる制度であることは間違いありません。
親の介護でお金をもらうのに資格は必要?資格を満たす具体的な方法と注意点

ここからは、「実際にどうすれば支援を受けられるのか」「どこまでが対象になるのか」といった、より具体的な条件やお金の目安について詳しく見ていきます。制度は知っていても、要介護度や収入、働き方によって内容は大きく変わるため、ご自身の状況と照らし合わせながら確認していくことが大切です。
要介護1で毎月もらえるお金はいくら?
要介護1と認定された場合でも、「まったくお金がもらえない」というわけではありません。直接的に現金が支給される制度はほとんどありませんが、介護保険制度による給付によって、実際にかかる介護費用を大きく抑えることができます。結論として、要介護1では毎月数万円から十数万円分の介護サービスを、1割〜3割の自己負担で利用することが可能です。
介護保険制度では、要介護度ごとに「支給限度額」と呼ばれる月額の上限が決められています。要介護1の支給限度額は、月額およそ167,650円です。この範囲内で介護サービスを利用した場合、自己負担が1割の人であれば、実際の支払いは約16,765円となり、残りの約15万円分は介護保険から給付されます。
| 区分 | 支給限度額(月額) | 自己負担1割の場合 |
|---|---|---|
| 要介護1 | 約167,650円 | 約16,765円 |
この仕組みを正しく理解すると、「毎月15万円分以上のサービスを保険でまかなってもらっている」と考えることができます。これが、要介護1でも「実質的にもらえるお金がある」と言われる理由です。
利用できる主なサービスには、以下のようなものがあります。
- 訪問介護(ヘルパーによる生活援助・身体介護)
- デイサービス(通所介護)
- リハビリを含む通所リハビリ
- 福祉用具のレンタル(手すり、歩行器など)
- 住宅改修費の補助(手すり設置など)
たとえば、週に2回のデイサービスと、週1回の訪問介護を利用している要介護1の方の場合、月の介護サービス費用は10万円前後になることが多く、自己負担1割であれば1万円程度の支払いで済むケースもあります。これにより、家族の経済的な負担は大幅に軽減されます。
一方で、「要介護1だから現金が毎月振り込まれる」という制度はありません。あくまで「サービスの形でお金が支給される」という仕組みであり、現金給付と同じ感覚で考えてしまうと誤解が生じやすくなります。
実際に、要介護1の父親を介護している50代の女性は、要介護認定を受ける前は月に8万円以上の自費サービスを利用していましたが、認定後は自己負担が月8,000円程度まで下がり、その分を生活費や医療費に回せるようになったと話しています。このように、要介護1であっても制度を使うかどうかで、家計への影響は大きく変わります。
要介護1は「軽度」と思われがちですが、転倒リスクや認知機能の低下が始まる時期でもあり、早めに制度を使い始めることで、結果的に介護の長期化や重度化を防げる可能性もあります。金額だけでなく、生活全体を支える仕組みとして活用することが重要です。
介護で働けない、補助金はどこまで利用できる?
親の介護が本格化すると、「仕事を続けられない」「勤務時間を減らさざるを得ない」という状況に直面する人も少なくありません。結論として、仕事を続けながら介護をする人、または一時的に仕事を休まざるを得ない人に対しては、国や自治体が用意している複数の補助制度を利用することが可能です。
最も代表的な制度が、雇用保険から支給される「介護休業給付金」です。これは、要介護状態の家族を介護するために仕事を休んだ場合に、収入の一部を補ってもらえる制度です。支給額は、休業開始前の賃金の67%で、最大93日間支給されます。
例えば、月収20万円の人が介護のために仕事を休んだ場合、毎月およそ13万4千円が給付される計算になります。これにより、「収入が完全にゼロになる」という最悪の事態は避けられるようになっています。
介護休業給付金を利用するための主な条件は以下の通りです。
- 雇用保険に加入していること
- 対象となる家族が要介護状態であること
- 休業開始前2年間に一定以上の勤務実績があること
さらに、会社によっては国の制度とは別に、独自の介護休暇制度や補助制度を設けている場合もあります。たとえば「有給扱いで介護休暇を付与する」「介護のための時短勤務を認める」「介護補助金を支給する」といった対応をしている企業もあります。
また、自治体独自の補助制度も見逃せません。地域によっては、以下のような支援が用意されています。
- 在宅介護に対する現金支給
- 紙おむつや介護用品の購入補助
- 配食サービスや見守りサービスの費用補助
- 介護タクシーの利用補助
これらはすべて市区町村ごとの制度であり、内容や金額、対象条件は大きく異なります。そのため、「隣の市ではもらえたのに、自分の市では対象外だった」ということも珍しくありません。
一方で、「仕事を辞めてしまったあと」では利用できない補助もあります。介護休業給付金は、あくまで「雇用関係が続いていること」が前提です。そのため、介護が理由で先に退職してしまうと、給付金の対象外となってしまいます。
実際に、会社員として働いていた60代の男性は、母親の介護が急に必要になり、制度をよく調べないまま退職してしまいました。後から介護休業給付金の存在を知り、「退職しなければ毎月10万円以上の給付が受けられた」と後悔する結果になってしまったそうです。
このような事態を避けるためにも、「仕事を続けるか、休むか、辞めるか」を決める前に、必ずハローワークや会社の人事担当、地域包括支援センターなどに相談し、利用できる補助金や給付金をすべて洗い出してから判断することが非常に重要です。
介護保険の2割負担になる年収は?自己負担の境界線

介護保険サービスの自己負担割合は、原則1割とされていますが、一定以上の所得がある人は2割、または3割の負担となります。結論として、年収が一定の水準を超えると、介護サービスの自己負担は2割に引き上げられ、家計への影響も大きくなります。
自己負担割合は、本人の「合計所得金額」と「世帯の課税状況」によって決まります。2割負担となる主な目安は以下の通りです。
- 本人の合計所得金額が160万円以上
- 単身世帯で年金収入などが280万円以上
- 夫婦世帯で年金収入などが346万円以上
これらに該当すると、介護サービスの利用時に、これまで1割だった自己負担が2割に引き上げられます。たとえば、月に10万円分の介護サービスを利用している場合、
- 1割負担:1万円
- 2割負担:2万円
となり、毎月の支払いが1万円も増える計算になります。年間で見ると12万円の差となり、介護期間が長引くほど家計への影響は無視できない額になります。
さらに、合計所得金額が220万円以上で、一定の条件を満たす場合は3割負担となるケースもあります。3割負担になると、10万円のサービス利用で3万円の自己負担となり、介護費用の重さは一気に増します。
この負担割合の判定基準は、厚生労働省が定めたルールに基づいて毎年見直されており、介護保険負担割合証として、市区町村から毎年送付されます。この証書を見ない限り、自分が何割負担なのか正確に分からない人も多く、「知らないうちに2割負担になっていた」というケースも少なくありません。
実際に、年金収入が280万円を少し超えただけで2割負担に切り替わり、月2万円以上の自己負担が発生するようになった高齢者もいます。本人は「年金が少し増えただけなのに、負担が急に重くなった」と感じており、この境界線の厳しさを実感させられるケースです。
なお、自己負担が高額になった場合でも、「高額介護サービス費制度」を利用すれば、一定額を超えた分が後から払い戻される仕組みがあります。これにより、2割や3割負担であっても、自己負担額には月ごとの上限が設けられています。
| 所得区分 | 月額自己負担上限の目安 |
|---|---|
| 一般所得者 | 約44,400円 |
| 低所得者 | 約24,600円 |
この制度を知らずにいると、「2割負担=そのままずっと高額支払いが続く」と思い込んでしまい、必要な介護サービスを我慢してしまう人もいます。しかし、実際にはこうした上限制度が用意されており、申請すれば超えた分は後から戻ってくる仕組みになっています。
自己負担の割合や上限は、親の収入や家族構成によって毎年変わる可能性があります。そのため、毎年届く介護保険負担割合証や、市区町村からの通知は必ず確認し、「いつの間にか負担が増えていた」という事態を防ぐことが大切です。
このように、介護保険の2割負担は「収入が多い人だけの問題」と思われがちですが、年金収入が増えた高齢者や、配偶者の収入が高い世帯でも該当する可能性があります。正しく仕組みを理解しておくことで、予期しない出費に慌てずに対応できるようになります。
お金をもらうのに税金はかかる?確定申告のポイント
親の介護に関してお金をもらった場合、「これは税金の対象になるのか」「確定申告は必要なのか」と不安になる方はとても多いです。結論からお伝えすると、介護に関係して受け取るお金には、税金がかかるものとかからないものが明確に分かれており、内容を正しく理解していれば、必要以上に心配する必要はありません。
まず、介護保険制度によるサービス給付は「現金収入」ではなく、「サービスの費用を国や自治体が負担してくれている」仕組みのため、そもそも所得にはあたりません。たとえば、訪問介護やデイサービスの費用の9割を保険で負担してもらっていても、その金額に対して税金がかかることは一切ありません。これは税法上も「非課税扱い」とされています。
次に、雇用保険から支給される介護休業給付金についても、多くの方が「給付金=課税されるのでは」と誤解しがちですが、この給付金も原則として「非課税所得」に分類されます。そのため、給付金を受け取ったからといって、その金額に対して所得税や住民税が追加でかかることはありません。年末調整や確定申告においても、給与のように課税対象として計算されることはありません。
一方で、注意しなければならないのが、自治体から支給される一部の「現金給付型補助金」です。家族介護慰労金や、在宅介護支援金などの名称で現金が支給される制度の中には、「非課税」と明記されているものもあれば、「一時所得」として課税対象になる可能性があるものも存在します。これは自治体ごとの制度設計によって扱いが異なります。
そのため、現金でお金を受け取った場合には、必ず以下の点を確認することが大切です。
- 支給されたお金は「非課税」と明記されているか
- 課税対象の場合、「一時所得」なのか「雑所得」なのか
- 源泉徴収がすでに行われているか
仮に課税対象となるお金であっても、すぐに多額の税金が発生するわけではありません。一時所得の場合は「受け取った金額 − 必要経費 − 特別控除50万円」という計算式で所得が算出され、50万円を超えない範囲であれば税金が発生しないケースも多くなっています。
実際に、ある女性は自治体から年間8万円の家族介護支援金を受け取りましたが、「これは非課税扱い」と明示されていたため、確定申告は不要でした。一方で、別の地域に住む男性は、介護関連の支援金として15万円を受け取り、それが課税対象の一時所得にあたると後から分かり、確定申告を行う必要がありました。このように、同じ「介護の支援金」であっても、税金の扱いは制度ごとに大きく異なります。
また、介護に関する支出については「医療費控除」や「障害者控除」といった形で税金が戻ってくる場合もあります。たとえば、親の介護にかかる医療費や通院費、一定条件を満たしたおむつ代などは、医療費控除の対象になることがあります。さらに、要介護認定を受けた親と同居している場合、自治体の認定を受ければ「障害者控除」が適用されることもあり、所得税や住民税が軽減されます。
確定申告が必要かどうかを判断するポイントは、「現金で受け取ったお金があるか」「それが課税対象か」「控除できる支出があるか」の3点です。介護に関するお金は仕組みが複雑なため、少しでも不安がある場合は、税務署や市区町村の相談窓口、または税理士に一度確認しておくと安心です。知らずに申告漏れをしてしまうと、後から追徴課税が発生する可能性もあるため注意が必要です。
介護補助金一覧で使える支援を整理しよう
親の介護に関するお金の支援は、国の制度だけで完結しているわけではありません。実際には、国・都道府県・市区町村がそれぞれ独自の支援制度を用意しており、それらを組み合わせることで、初めて家計の負担が大きく軽減される仕組みになっています。結論として、介護補助金は「一つだけを探す」のではなく、「複数をまとめて確認する」ことが非常に重要です。
まず、全国ほぼ共通で利用できる代表的な支援は、次のようなものがあります。
- 介護保険サービスの給付(訪問介護、デイサービスなど)
- 住宅改修費の補助(手すり・段差解消など)
- 福祉用具購入・レンタルの補助
- 高額介護サービス費制度
- 介護休業給付金(雇用保険)
これらは厚生労働省が制度として設けているもので、基本的な仕組みや利用方法は全国共通です。ただし、支給の細かい条件や、申請の流れは市区町村単位で違いがあります。
次に、市区町村ごとに大きく差が出るのが、いわゆる「自治体独自の補助金」です。具体的には、次のような支援があります。
- 家族介護慰労金
- 紙おむつ購入費の助成
- 配食サービスの費用補助
- 介護タクシー利用助成
- 見守りサービスの助成
- 在宅介護支援金
たとえば、紙おむつ代については、月に3,000円〜5,000円を補助してくれる自治体もあり、年間で見ると数万円の負担軽減につながります。配食サービスの補助では、1食あたり200円〜300円引きで利用できる地域もあり、親が一人で食事の用意ができない場合には、金銭面と生活面の両方で大きな助けになります。
また、介護タクシーについては、「自宅から病院までの移動費を月に数回まで補助」「1回あたり1,000円まで助成」といった形で支援が行われていることもあります。歩行が困難な高齢者にとっては、通院の負担が一気に軽くなります。
これらの補助金や助成制度は、原則としてすべて「申請制」です。市区町村が自動的に案内してくれることは少なく、「自分から情報を探し、窓口に問い合わせた人だけが利用できる」という仕組みになっているものがほとんどです。
実際に、同じ町内でほぼ同じ介護状況にある二つの家庭でも、一方は毎年10万円以上の補助を受け取り、もう一方は制度の存在を知らずに全額自己負担していた、というケースは珍しくありません。この差は、収入や介護の大変さではなく、「情報を知っているかどうか」だけで生まれています。
補助金や助成制度を調べる際は、以下の窓口を必ず活用することをおすすめします。
- 市区町村の高齢福祉課・介護保険課
- 地域包括支援センター
- 担当ケアマネジャー
特に地域包括支援センターは、介護・医療・福祉・お金の相談をまとめて受け付けてくれる公的機関です。無料で相談でき、現在利用できる補助金や支援制度を一覧で教えてもらえることも多いため、最初に相談する窓口として最適です。
介護の補助金は、単体で見ると金額が小さく感じられるものもありますが、複数を組み合わせて使うことで、年間で数十万円規模の支援につながることも十分にあります。介護が長期化しやすい現実を考えると、こうした制度を「知っているかどうか」は、家計の安定に直結すると言っても過言ではありません。
まとめ:親の介護でお金をもらうのに資格は必要?資格を満たすために知っておくべき全知識
ここまで見てきた通り、親の介護でお金をもらうためには、「何か特別な資格が必要」というよりも、「制度ごとに定められた条件を満たし、正しく申請すること」が何よりも重要になります。介護は突然始まることも多く、十分な準備がないまま家計の負担だけが増えていくケースも少なくありませんが、制度を正しく知っていれば、その負担を大きく軽減することは十分に可能です。
介護保険制度を使えば、要介護度に応じたサービスを自己負担1割〜3割で利用でき、要介護1であっても毎月十数万円分の支援を受けられる仕組みになっています。さらに、働きながら介護をする人には介護休業給付金という収入補償制度もあり、仕事を完全に辞めなくても介護と両立できる道が用意されています。
また、家族介護慰労金や紙おむつ代の助成、配食サービスの補助など、自治体独自の制度も数多く存在しており、これらを知らずに介護を続けてしまうと、本来受け取れるはずだった支援をすべて失ってしまう可能性もあります。
税金についても、「もらったお金すべてに税金がかかる」というわけではなく、非課税となる給付金や、医療費控除・障害者控除など、税負担を軽くする仕組みがきちんと用意されています。これらを正しく活用できるかどうかで、実際に残るお金の額は大きく変わってきます。
親の介護でお金をもらうのに資格は必要なのかという疑問に対する答えは、「資格という一つの条件があるのではなく、制度ごとに異なる条件を一つずつ満たしていく必要がある」というのが現実です。そして、その条件は決して特別な人だけが対象になるものではなく、多くの家庭が該当しうる内容でもあります。
大切なのは、「どうせ自分は対象にならない」と決めつけてしまわないこと、そして「今すぐ困っていないから」と後回しにしないことです。介護が始まった時点、もしくは始まりそうだと感じた時点で、市区町村の窓口や地域包括支援センター、ケアマネジャーに相談し、使える制度をすべて洗い出しておくことが、結果的に家族と自分自身を守る一番の近道になります。
- ・親の介護でお金をもらうには特別な資格よりも、要介護認定や自治体制度など「それぞれの条件を満たすこと」が重要です。
- ・介護保険サービスや高額介護サービス費、介護休業給付金などを組み合わせることで、現金給付だけでなく実質的な経済支援を受けられます。
- ・家族介護慰労金や紙おむつ助成などの介護補助金は自治体ごとに内容が大きく異なるため、地域包括支援センターや市区町村窓口での確認が欠かせません。
- ・介護で受け取るお金の多くは非課税ですが、課税対象となる支援金や医療費控除・障害者控除なども含め、税金と確定申告のポイントを早めに整理しておくことが安心につながります。
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